【小説の書き方】資料はどこまで揃えれば良いのか?

小説の書き方-プロ小説家が教えます サムネイル 小説の書き方

小説を書くために資料を揃える場合。

私が考えるに、二種類の方法があります。

 

  • ネタを確定させるため。
  • 小説本文を確定させるため。

 

ネタを確定させるための資料収集とは?

『ネタ』は、『思い付いたとき』は『たんなるアイデアの一つ』でしかないですよね。

 

『タバコを吸う』

これは単なるアイデア。

 

『主人公のイケメンがイケメンなタバコの吸い方をする』

これがネタ。

 

今回だと、『ネタのための資料』と言うと

『イケメンの喫煙写真を集める』ぐらいでしょうか。

 

それを小説中で書きます。

 彼の長い指より少し細いタバコが、手品のように指の上で踊り、ピタリと止まる。私を見てニコッ、と笑った後、くわえながらライターの火を着けた。

 いつも笑顔なのに、この瞬間だけ、かすかに眉間に皺がよる。

 息を吸い込みながら炎を近づける、その口元がキスしてるみたい。膨れる胸と先端にともる炎。数秒後、彼の口からもわっと白い息が漏れる。

まぁ、第一稿はこんな感じで。

ぱぱっと書き留めてしまいしましょう。

まぁ……これだと、

思い付いてから書き終わるまで3分ぐらい?

 

私の中のイケメンの喫煙風景w

モデルは私のオリジナル小説のキャラクターです。

危険な系譜シリーズ世界観 - 晶山嵐 同人サークル情報サイト  『GIREN-1』

『危険な系譜』の脇役『秋谷竜二』さん。

 

 

これは、『書きなぐる第一稿』で一気に書いてしまいます。

タバコのことだけではなく、頭に浮かんでいることを全部書き切ってしまいます。

 

そののち、何も文章が浮かばなくなってから、

修正や、検索です。

 

その時に検索するのが、『小説本文を確定させるため』の資料ですね。

 

決して、『タバコの描写』を書いたあと、すぐに検索しないでください。

 

『描写』を書いたら、頭は『小説を書くモード』に入ったはずです。

そのまま『書けるところまで「全部」書き切る』ことをしてください。

 

「このタバコ、なんの銘柄かな?」なんて、

『書いているとき』は必要ないです。

 

 

小説本文を確定させるための資料とは?

小説本文にリアリティを持たせるための資料です。

 

先程の『イケメンの喫煙風景』の『本文』に対して、

あなたが喫煙者なら、ここで資料は不要でしょうが

私のように非喫煙者の場合、まず『タバコ』についての資料が必要です。

 

  • 主人公はどういうタバコが好きなのか?
  • なぜそのタバコを選んだのか?
  • そのタバコはいくらのものなのか?
  • 喫煙頻度は?

これを調べるために下記の疑問が出ますね。

  • 主人公はどういうタバコが好きなのか?
    • そもそもタバコは何種類あるのか?
  • なぜそのタバコを選んだのか?
    • いつから吸ってる?
    • どこで吸い始めた?
    • どうやって吸い始めた?
    • 最初はどこで入手した?
  • そのタバコはいくらのものなのか?
  • 喫煙頻度は?

 

疑問を解決させましょう。

  • 主人公はどういうタバコが好きなのか?
    • そもそもタバコは何種類あるのか?
      • 一覧を書き出す。
  • なぜそのタバコを選んだのか?
    • エピソードをメモする。
      • 小説本文では必要のないことだとしても、これを決めて置くと『人物に深みが出る』のです。
  • そのタバコはいくらのものなのか?
    • 実際にあるなら、価格をメモする。
      • それがどこかで安売りされているものなら、その安売りを買うのか、標準価格で買うのか、なぜその価格で買うのか、で性格を描ける。
  • 喫煙頻度は?
    • 想定をメモする。
      • 彼女と会うときだけ吸う。
      • 彼女と会うときだけ吸わない。
      • 食事の時でも吸う。
      • 一日一箱程度。
      • 一日四箱。チェーンスモーカー。
      • 半年前のが部屋から出てきた。
      • など

私の例。

他に喫煙者を私は書いてないので、

私のオリジナルキャラクターの

『竜二さん』が煙草を選んだときの思考を書いてみます。

危険な系譜シリーズ世界観 - 晶山嵐 同人サークル情報サイト  『GIREN-1』

『危険な系譜』の脇役『秋谷竜二』さん。

 

竜二さんは人をおちょくる人なので

テンポをずらすために、ヘビースモーカーだと、

『黙っているときも絵になる』。

 

テンポ良くしゃべってるのに、喫煙者の人が

煙草を吸ってから吐くまでしゃべらない『間』に

イラッとすることあるでしょ。

 

あれを意図的にするために、煙草を持たせました。

怖い兄の前だけでは吸わない、とか人間関係も出せます。

 

 

そして、『普通のタバコ』を吸ってほしくなかったから

『スマートなタバコ』が大前提。

以前友人が黒い煙草をすってた。

 

黒くて細い煙草、竜二さんに似合う!

と探したら、バリの『ジャラムブラック』という煙草。

 

この煙草自体は、主人公にこういう感想を持たせた。

 竜二さんの煙草は、火先がバチバチ爆ぜる。子供の頃に理由を聞いたら、閃光花火の小さいのが仕込んであるんだ、って言われたから二度と聞いていない。子供心に嘘を言われた、とわかったんだよね。どうやら配合されている丁子が弾けているらしい、とあとで自分で調べて知った。真耶も修矢も晴弥も面白がって、竜二さんがこの煙草を吸うといつも眺めていた。香りが甘いから、なんだか甘ったるいお香を灯しているようで、駅とかで感じる、苦い煙草の厭な感じはしない。煙草自体も普通の白いのではなくて茶色くてスマートに見える。竜二さんには似合いの煙草だ。「でもこれ日本で吸うと不味いのよー」と以前笑っていたことがある。バリの煙草はバリで吸うものらしい。

↑実際に小説本文で書いてる。

数年前のなので、凄い……ヘタ……w

書き直したい!

 

 

これを前提に第二稿(推考)。

 竜二さんの白く長い指。そこに黒くて細いタバコが、手品のようにくるくるしている。まるで、竜二さんに掌の上で踊らされてる男の子みたい。人指し指と中指の間に煙草を納めて、口を隠すようにくわえる。僕を見てニコッ、と笑う。いつも、この瞬間ドキッとするんだ。だって、何もからかうことがないから。ただ、竜二さんの綺麗な顔に見とれてる。

 僕を見たままライターの蓋を親指で押し上げて、そのまま下ろす勢いでホイールをまわす。冷たいオイルのにおいがふっとにおったあと、炎で拡散される。この瞬間、竜二さんのEGOISTがなりをひそめる。揺れる炎が黒い瞳に映り込んで、泣いてるみたい。泣くような人じゃないのに。

 いつも笑顔だけど、この瞬間だけ、苦いものをかみつぶしたみたい。眉間に皺がよる。ミュシャのポスターみたい。まわりに額縁があっても全然違和感無い。黙ってれば、本当に、凄い美形なんだよね。爪の先まで真珠みたい。

 息を吸い込みながら炎を近づける。キスしてるみたいなくちびる。僕のセカンドキスは竜二さんだった。キス魔だから、覚えてないだろうけど僕はショックだった。エアキスもよくするし、投げキッスも頻繁。その口で愛撫されたら煙草でもあえぎそう。

 膨れる胸と先端にともる炎。バチバチ……と丁子がはぜる。小さな小さな線香花火みたい。煙草一つとっても騒々しい、本当に、竜二さんに似合いの煙草だ。

 数秒後、キスしたい口が広がって、もわっと白い息が漏れる。それをもう一度吸い込んで……

 僕の方を向いた瞬間、ヤバイ、と思ったけど、目の前真っ白。

 甘いっ! 煙い!

 そしてばたばた髪も肩も払うように叩かれる。

「お前に煙の臭いつけたら兄貴に怒られるからなー!」

「払うなら吹きかけないでよ!」

「ナニ? EGOISTかけてやろうか?」

 

殆ど第一稿ですね。

 

 

第三稿(推考)

 竜二さんの本当に白蛇みたいな指に、黒くて細いタバコが、手品のようにくるくるしている。まるで、竜二さんに掌の上で踊らされてる男の子みたい。人指し指と中指の間にストンと落ちた煙草。掌で口を隠すようにくわえたまま、僕を見てニコッ。鏡で太陽を反射させられたみたい。

 いつも、この瞬間ドキッとするんだ。

 だって、何もからかうことがないから。

 ただ、綺麗なだけだから。

 いつもこうならいいのに……

 僕を見たままライターの蓋を親指で押し上げて、視線は煙草の先端へ。ちょっと、残念な感じ。一瞬なのに。

 いつも笑顔だけど、この時は苦いものをかみつぶしたみたい。眉間に皺がよる。

 冷たいオイルのにおい。

 竜二さんのEGOISTがなりをひそめる瞬間。揺れる炎が黒い瞳に映り込んで、泣いてるみたい。泣くような人じゃないのに。

 ミュシャのポスターみたい。まわりに額縁があっても全然違和感無い。黙ってれば、本当に、凄い美形なんだよね。爪の先まで大理石のよう。

 息を吸い込みながら炎を近づける。キスしてるみたいなくちびる。

 僕のセカンドキスは竜二さんだった。キス魔だから、覚えてないだろうけど僕はショックだった。エアキスもよくするし、投げキッスも頻繁。その口で愛撫されたら煙草でもあえぎそう。

 カチンと蓋を閉じて指先でくるっと回したあと、ズボンのポケットに入れてポン、とそこを叩く。もう、煙草の香りだけ。

 膨れる胸と先端にともる炎。バチバチ……と丁子がはぜる。小さな小さな線香花火みたいな火花。煙草一つとっても騒々しい、本当に、竜二さんに似合いの煙草だ。

 数秒後、キスしたい口が広がって、もわっと白い息が漏れる。それをもう一度吸い込んで……

 僕の方を向いた瞬間、ヤバイ、と思ったけど、目の前真っ白。

 甘いっ! 煙い!

 そしてばたばた髪も肩も払うように叩かれる。

「お前に煙の臭いつけたら兄貴に怒られるからなー!」

「払うなら吹きかけないでよ!」

「ナニ? 煙全部なめとってやろうか? 俺のにおいしかしなくなるぜ?」

 

 

第四稿(推考)

 竜二さんの本当に白蛇みたいな指に、黒くて細いタバコが、手品のようにくるくる回る。まるで、竜二さんに掌の上で踊らされる男の子のよう。人指し指と中指の間にストンと落ちたそれを掌で口を隠すようにくわえる。長い指。

 僕を見てニコッ。鏡で太陽を反射させられたみたい。

 いつも、この瞬間ドキッとするんだ。

 ただ、綺麗なだけだから。

 だって、何もからかうことがないから。

 いつもこうならいいのに……

 僕を見たままライターの蓋を親指で押し上げて、視線は煙草の先端へ。ちょっと、残念。一瞬なのに。

 いつも笑顔だけど、この時は苦いものをかみつぶしたみたい。眉間に皺がよる。

 冷たいオイルのにおい。

 竜二さんのEGOISTがなりをひそめる瞬間。揺れる炎が黒い瞳に映り込んで、泣いてるみたい。泣くような人じゃないのに。

 ミュシャのポスターみたい。まわりに額縁があっても全然違和感無い。黙ってれば、本当に、凄い美形なんだよね。爪の先まで大理石のよう。

 息を吸い込みながら炎を近づける。キスしてるみたいなくちびる。

 僕のセカンドキスは竜二さんだった。キス魔だから、覚えてないだろうけど、僕はショックだったんだ。叔父さんがセカンドキスっておかしいよ。エアキスもよくするし、投げキッスも頻繁。その口で愛撫されたら煙草でもあえぎそう。竜二さんを見た女の子が『あの煙草になりたーい』と言っていた。僕はなりたくないけど、意味はわかる。女の子なら、こんな綺麗な男の人にキスされたいって人はかなり多いとは、思う。外面はいいからね。

 煙草一つつけるだけで注目を浴びる僕の叔父さん。

 カチンと蓋を閉じて指先でくるっと回したあと、ズボンのポケットに入れてポン、とそこを叩く。この時に逃げないと、その手で抱き寄せられる。

 少し離れると、EGOIST香る。漆黒の髪が揺れる。長い睫毛がふわりと上がって僕を、見る。

 膨れる胸と先端にともる炎。バチバチ……と丁子がはぜた。小さな小さな線香花火みたいな火花。煙草一つとっても騒々しい、本当に、竜二さんに似合いの煙草だ。

 数秒後、キスしたい口が広がって、もわっと白い息が漏れる。それをもう一度吸い込んで……

 僕の方を向いた瞬間、危険信号は出たけど、目の前真っ白。

 甘いっ! 煙い!

 そしてばたばた髪も肩も払うように叩かれる。

「お前に煙の臭いつけたら兄貴に怒られるからなー!」

「払うなら吹きかけないでよ!」

「ナニ? 煙全部なめとってやろうか? 俺のにおいしかしなくなるぜ?」

 せっかく離れたのに、首に肘を巻き込まれて頬ずり。やめてそれやめて。

ここまで、第一稿から、……

この記事を書き始めて、今で48分。

 

あとは、読み返すたびにナニカ付け加えていって長くなります。

 

こんなふうに、『最初に書いた文章』なんてかけらも無くなります。

だから、『最初の一文が思い付かない』とか

『最初が書けないから始められない』とか思わず

どんどんどんどん

『好きなところから』『好きなだけ』書いて行ってください。

 

資料探しは前後にする。

  • ネタを確定させるため。
    • ネタのあと。
    • 小説を書く前。
  • 小説本文を確定させるため。
    • 小説を書いた後。

 

この『小説本文を確定させるため』の資料探しを先にすると

時間だけがかかります。

 

なぜなら、

『ナニを小説で書くか分かっていないから、不要な資料も集める』

ためです。

 

大体は、『小説を書いた後の資料』が『ネタのための資料』より多くなります。

 

ただし、『ネタのための資料』が毎回少ないかというとそうでも無いです。

 

『ネタのための資料』が膨大になる時。

赤狼シリーズの世界観 - 晶山嵐 同人サークル情報サイト  『GIREN-1』

世界のモデルは春秋戦国時代ぐらいの大陸。
乗馬技術も無く、鉄器も無く、も無い。

そこに、乗馬して、鉄器を持って殴り込んできたキラ・シは最強を誇った。

説明文に書いていますが、これもう『ネタ』ですよね。全部。

 

  • 春秋戦国時代がいつなのか?
  • 大陸ってどんぐらいなのか?
  • 乗馬技術が無い時の移動方法とは?
  • 鉄器がなかったら剣はナニ製?
  • 紙がなかったら『手紙』って単語も無いよね?
    • 時代で基礎単語が変わる!

大筋のネタをガッと決めた後、ここらへんをつぶしていかないと

『世界観』が決まりません。

 

話を書き始める前に↓こういうのを私は決めてしまいました。

国政メモ

『大陸』にある国家名、人口、軍備、戦争状況。

とりあえず、大陸の全人口を1200万人と仮定。
(春秋戦国時代の人数がそれぐらいではないか、ということなので)

  • 首都の人数は全人口の二割弱(農民100人が20人の人間を養えるという前提)
    • 人口が500000人以上なら首都の人数は2割まし(よそから食料を輸入する分多い)
    • 人口が300000人以上500000人未満なら首都の人数は基本
    • 人口が300000人までなら首都の人数は1割減(余所に食料を輸出する分少ない。それと技術力が足りない)

という前提で計算しました。なので、10万人を越える都市は全大陸で5つ。

 

これは、『数字のための公式』なので、実際の

都市シミュレーションとは違います。

 

数字がまちがってたって、誰も突っ込めないw

とりあえず『世界観の概算』のための数字だから。

 

もう、こんなんになると、

『ネタ』のための資料集めも膨大。

 

だから『ネタのための資料集め』が少ないわけではないけれど

『ネタのための資料集め』が多いと『小説を書いたあとの資料集め』もさらに多くなります。

 

とにかく

『ネタのための資料』< 『小説のための資料』

 

小説を書き始められない理由の一つ。『資料集め』の罠。

『小説のための資料』を『ネタ確定』の時に集めると

『資料集めが終わらないから小説が書けない』いうことになります。

 

『ネタのための資料』は大雑把に揃えましょう。

 

そして、小説を書いていないときに『どんな資料が必要か』なんて『わかりません』。

 

つまりは、『書いた後』に資料は必要なのです。

くれぐれも『書く前』に資料を集めようとしないこと。

 

ネタも決まっていないのに資料を集めても

何も揃いません。

 

数だけは集められますが『それがなんのために必要なのか』が

わからないから

『資料集め』が終わりません。

 

私のように年を食ってたら

過去に集めた資料を思い起こしてネタを書くことはできます。

 

が、若い時、まぁ年齢で全部言うことはできませんが

生活資料も、文献資料もあまり見ていない時に

『資料からネタが生まれる』というのは、

凄く大変です。

 

たまたま読んでいた本からインスピレーションを受けて

ネタを見つけることはありますが

『資料を集めたからネタが生まれる』ということは、ないです。

 

そんなことでネタが生まれて小説が書けるなら

読書家はみんな小説を書けています。

 

先にネタがあるから、

それに合わせて資料を集めるから

資料の点と点が繋がって、線になり、面になるのです。

 

決して『資料が無いから小説が書けない』のではないのです。

それは『小説を書き終えないための逃げ口上』です。

 

ネタがないから、資料集めができなくて

ネタがないのに資料集めをしようとして

ナニを集めて良いのかわからないから

『自分探し』とか言って無駄なことをするのです。

 

 

ナニカがほしいときは『探す』ことをしてはいけないのです。

【小説を書くために】資料を揃えたいときのポイント | 小説の書き方-プロ作家が答えます

 

必ず、

  • 『ネタを書く』
  • 『小説を書く』

のが『先』です。

 

ネタもないのに資料を揃えないように。

 

資料のために小説を書くのではないですよね?

小説のために資料がほしいのですよね?

 

書いてから、足りない部分において資料を求めましょう。

 

【小説の書き方】資料はどこまで揃えれば良いのか?

でした。

 

エンジョイ! & サンキュー♪

【この記事を書いた日 2018/03/07 15:31 】

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