
長編を書き始めたけど、5000文字しか書けない。
長いのを書くにはどうしたらいい?
長い小説を書こうとするときは、
『長い小説を書けるだけの「ネタ」』が必要です。
『文字数を増やす』のではなく
『ネタを増やす』のです。
文字数だけで、小説を倍にするのは
初心者には困難ですし
そういう小説は絶対に面白くないです。
『文字数稼ぎ』をしようとしないでください。
『ネタ』を作りましょう。
もう一つ。
何度もトライしてください。
一回でできるのは天才だけです。
『多作』しましょう。
そのうち書けるようになります。
『もう無理!』と思うのは、100作書いてからです。
100作書いてなくて『できない』のは
たんに経験値不足です。
『物語』には、下記のような『部品』があります。
【小説の書き方】気力の不要な部分から書いていく | 小説の書き方-プロ作家が答えます
短編の場合は『一つのネタ』でこの全部をカバーできることがあります。
ただ、『分割する』と、これぐらいのネタがないと
『読んでいて面白くない』です。
三千文字の小説でもこれぐらいは必要です。
こういうことですね。
せめて6つのネタがないと、一本にならないのですね。
主人公がめっちゃかっこよく煙草を吸ってて
それにヒロインが一目惚れする話が書きたい。
これだとネタはこの二つ。
ツイッター小説ならこれでも良いですが、
これだけだと、1000文字書くのも大変でしょう。
『小説の体裁』を整えるなら
下記のように、あと5つのネタがないと、
一本の話にならない、ということです。
漫画だと、
『かっこいい主人公』は『一枚のイラスト』で描けますが
小説だと『どうかっこよいのか?』を文字で書かないといけません。
ですので、私はこのブログで何度も『テキスト化』の鍛練が必要
と書いているのです。
【小説を素早く書くために】『テキスト化能力』を鍛える。 | 小説の書き方-プロ作家が答えます
これぐらいで三千文字じゃないでしょうか?
『ネタ』の意味がわかっていただけたでしょうか?
校門から落ちる奴なんていない、と思うでしょう?
私が落ちたんですw
事実は小説より奇なり!
擦り傷だけで済んだんですけどね。
『ダメな経験』がエピソードを増やす一例w
だから『苦労は買ってでもしろ』と言われるんです。
商業誌一冊分だと、新書で大体12万文字になります。
ナニで『文字数を増やしているのか?』というと。
『エピソードを増やす』んですね。
決して『文字数を増やそう』と考えているわけではないんです。
たとえば先程のネタだとただこれだけです。
『思い出の追加』は簡単です。
そして、一気に文字数が稼げます。
なぜなら
人はいつでもどこでも『思い出す』から、
どこでなにを考えても、『不自然にならない』のです。
勿論、
この書き分けができていないと、読みにくい小説になります。
その前に『思い出』のネタがないと書けません。
『思い出』を増やすとこうなります ↓
これだけで、ネタが9個増えましたね?
『親戚が死んだ話』が伏線になって、
主人公の現状が凄くリアルになります。
キャラクターを増やしてしまえば
その説明のために、自然と文字数は増えます。
三千文字だと、二人の人物を書くのがせいぜいでしょう。
これでまた、8個のネタが増えましたね。
新書レベルの文字数の本を『シリーズ』で5冊続けたとすると
『1キャラクター』につき、100頁増えます。
『文字数を増やす』という点で言うと、
キャラクターを増やすのが一番簡単です。
『キャラクターを増やす』ことが、文字数増大に簡単に効果がありますが
『キャラクターを増やす』ことは簡単ではありません。
『キャラクターを増やす』には、
『キャラクターを作る』必要があります。
『キャラクターを作る』ことが簡単な人は
とっととキャラを増やして文字数を稼いでいるので
『文字数が増えない』と悩んでいる人は、
ここで詰まっている可能性が高いです。
『長い小説が書けない』原因の一つに
『キャラクターをたくさん書けない』という問題があるわけですね。
ここから先は、また別の記事で。
【キャラクターをたくさん書くには?】
書いたらここにリンクします。
先程、テニスプレーヤーのクリスマス小説で
三千文字ぐらいって書きましたが
私はこのネタで12,000文字書いてました。
この部分をテキストにします。
草加学園中等部二年生。
サッカー部所属。
彼は、クリスマスを一緒に過ごす彼女を探していた。
真田公子。三年生。
ライバルを蹴落としてようやく結ばれたのだ。
何気ない冒頭。86文字。
これでも、冒頭としては分かりやすくていいと思います。
これを、こうする ↓
公子先輩とキスがしたい。
八代剛一五歳。
草加学園中等部二年生。
サッカー部所属。
我ながら男前だと思う。将来性抜群だぜ。今もいいけどな。うん。
髪は短めだけど、毎朝前髪立てるのにセットしてる。二週間に一度散髪行って長さも保ってる。ニキビは気にしてるから何度も顔洗うし、キレイキレイ。真剣な顔すると怖がられるけど、でも、ハンサムだよな。うん。
この年にしちゃぁ身長高いし。成績悪くないし。大体が、全国レベルのこの草加サッカー部で三年差しおいてレギュラーもぎとったぜ。へへ。俺がんばった。エライ!
そして。
クリスマスを前にした現在。
恋人有り。
あると……思う。うん。俺の恋人。
真田公子先輩。一個上の三年生。
長めの前髪、外跳ねにセットしたまん丸猫目のかわいこちゃん。
ほんとにビー玉みたいなでかい目で。俺よりちょっとだけ、ほんのちょっとだけ背ぇ高いのに、なんか見あげてくるみたいに見てくるんだよなー。それがまたかわいい。俺、成長期前だから、すぐ追い越すしっ! 待ってて先輩!
第一ボタンまで留めてる細い首。黒いサポーター履いてる短パン。膝がぐりっとしてて、ひょろっと長い足。長い腕。
コートの中だと確かに筋張ってるんだけど。普段はその長い手足はふにゃふにゃしてる。筋肉なんてどこにあるんスか?
「真田の筋肉はほぼ全部速筋だからねぇ……スタミナないのはしょうがないよね。体質改善していかないと、これから大変よね。胸無い分、走るの速くていじゃない」
別の先輩にそんなことを言われてた。
いやいやいやいや、けっこうあるっスよ! ちゃんとブラジャーもつけてるし!
早く動く筋肉は細くて、持久力のある筋肉が太くなる。公子先輩の体は早く動く筋肉でできてる、と。俺の体は逆にどんどんでかくなってくるし。うーん、我ながらちょっと怖いかも。ただでさえ強面でクラスメイトの女子に怖がられてるのに、体がでかくなったらそれこそなんだよな……
俺がどんだけ大きくなったって、先輩俺のこと嫌いにはなりませんよね?
へへ。一度先輩抱き上げてみたいなぁ。
865文字。
これができれば、すぐ、文字数は10倍になります。
この長文でも ↓ ネタはこれでしかないですよね?
ただ、分解すると
この二つが追加になっています。
『 公子先輩とキスがしたい。』
これで始まったら、
『どんなレベルの恋人』なのかもすぐ分かりますよね?
エロは出てこないw
エロ好きの人は、ここでUターンしてくれます。
『ネタ』にも『大きさ』があります。
この二つ、凄く大きさが違うの、わかっていただけますか?
小説上級者は、この『大きなネタ』をポン、と思い付きます。
だから『ネタ一つで100頁ぐらいかけるだろ』ってなるわけです。
でも、 ↓ こういうのしか思い付かない初心者は、
このネタをどうやって100頁にするんだ?
と思って
『文字数を増やす』ことを考えるんです。
違うんです。
ネタの大きさが、元から違うんです。
これを『小説用のテキスト』にしたら、何行掛かると思いますか?
この『部分』だけではないですよね?
まず、これを埋めないと『ネタのテキスト化』ができませんよね?
膨大なテキスト量が必要になりますね?
ここから先は下記記事で詳細を書いています。
【小説の書き方】気力の不要な部分から書いていく | 小説の書き方-プロ作家が答えます
これを細分化って、もうしなくていいですよね。
とか、不要ですね。
それはもう、テキストでやってしまった方がいいです。
でもこれは、細分化できますね?
こんなレベルで『細分化』していくのです。
こんな面倒臭いこと、私はやってません。
ただ、頭の中でこれをやって、一瞬でテキストを作っていくわけです。
簡単に言うと、この一番細分化したネタで、200文字書けたら、上等ですね。
この1ネタで、200文字書けたら凄いでしょ?
原稿用紙半分をこのネタで埋めるんですよ。
こういうことをすると、
細分化したその最終ネタを数えれば
小説が何文字になるかは、大体わかります。
そのための『ネタを細分化しよう』なのです。
このネタだけで、212文字 ↓
主人公が煙草に火をつけようとポケットを探ったらライターがなかった。出てくるときに、ガスが切れかけていたのが見えたので、部屋にあるガス満タンのに入れ換えようと、出して棚に置いたままだった。仕方ないので昼食まで我慢して、レジ横に置いてあったマッチを貰って火をつけた。ライターしか使ったことがなかったので、マッチのニオイに頭がしびれる。マッチは携帯が面倒だし、切れたら大変だしで選択肢になかったけれど、この日からマッチ派になった。
これで205文字。
主人公は駅前で人を待っていた。においがつくから喫煙する気はなかったのだけれど、となりで煙草を吸われて我慢しきれなくなった。禁煙しようしようと思っているので、新しく煙草を買っていない。だから、今、ポケットにあるのが最後の一本だ。だが、それはいつ買ったものだっただろうか? 『これをすったら、次は買わない』と誓ったらけっこう我慢できていたが、もう限界だ。勿論、ライターもマッチも持っていない。隣の人に火を無心した。
209文字。
主人公はエルメネジルド・ゼニアの黒スーツで駅前に立っていた。新宿でも目立つかもしれないが、異様に目立つ。じろじろとした視線を意に介さず、胸ポケットから黒い煙草の箱を出した。ジャラムブラック。バリ産の細くて黒いスタイリッシュな煙草だ。オロビアンコジッポで火をつける。煙草の先端でバチバチと丁子がはじけ、甘い香りが漂った。一瞬で、高級クラブのような雰囲気になったが、工事中の京橋の北改札である。
『京橋の北改札』でこんなのが検索で出てきた。
この写真が京橋なのかどうかは不明。
私がこないだ行った時は工事中でもっと汚かった。
これ三つで、20分ぐらい。
一つ、7分ぐらい。
ネタが10個あったら、70分。
頭が疲れるので、そのまま倍数にはできませんが
おおよその時間は計れます。
小さなネタで、いくつ200文字書けるか。
こういう『鍛練』もたまにはいいです。
つまりは
『最小ネタ』で200文字書ける。
この前提があって
『いくつのネタ』があったら、一万文字になるか?
50個のネタがないと、一万文字にならないですね?
このレベルの『極小ネタ』が50個あって、
ようやく、一万文字になるんです。
『一万文字が書けない!』と思ったらかぞえてみてください
ネタが50個ないでしょう?
ネタがないのだから、その文字数が書けないのは当然なんですよ。
長い小説を書きたいなら、
ネタを増やす。
コメント
[…] 【小説の書き方】どうしたら一万字の小説が書けるのか? | 小説の書き方-プロ作家が答えます […]